医療法人 仙台・中耳サージセンター 将監耳鼻咽喉科

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タイ・イヤーサージャリー・キャンプレポート 副院長 湯浅 有

今年(H15年)の5月初旬、突然一通のメールが届きました。差出人はDr. Soontorn Antarasenaというタイの耳鼻咽喉科領域の重鎮。4年前、タイ北部のチェンライという町で中耳手術を行った際に会食したことがありました。そのときに、機会があればぜひこのキャンプに参加させていただきたいと希望していたことを、彼は覚えていたようです。もちろん喜んで参加希望の返事をしました。こうして、7月末から9日間(実際手術した日は3日間)の手術行脚が始まったのです。

このキャンプには、当院院長や小林俊光先生(現東北大耳鼻咽喉科教授)も参加したことがあり大体の様子はうかがい知ることができましたが、それも10年前の話。今どのような形式で手術が行われているのか詳細が今ひとつつかめません。自分の施設以外のところで手術すること自体が気を遣うことで、器械も違えばスタッフも自分の方法には不慣れな人たちです。しかも今回は外国。一抹の(いや多大な)不安を感じながらバンコク国際空港に降り立ったのです。

第一日目、二日目

バンコク国際空港で無事Dr. Soontorn夫妻とお会いし、夕食をとりバンコク近くのホテルで一泊です。翌日バンコクから南下すること約600km、タイ南部の町Sicholに移動しました。そこで今回のキャンプのメンバー(医師7,8名、含む研修医)、看護師10名、技術師(手術用顕微鏡等を管理))と夕食をとりました。

第三日目

朝8:00にホテルを出発、15分で目的の病院へ到着。病院長とのご挨拶後、早速外来を見学させてもらいました。病院のイベントホールのようなところに、大変な数(約400名だったそうです)の外来患者さんが待ち構えていました。特製の外来用紙には、主訴、所見、保存加療/手術加療の適応、投薬等の処置といった非常に簡潔ながら十分な情報を書き込んでいきます。必要であれば聴力検査も行えますが、一台しかないのでほとんどの場合、手術適応となった患者さんが対象となります。手術適応となれば、首から手術側の左右別を明記した札をぶら下げ、即手術室へご案内。そうでなければ、投薬コーナーへ行き説明を受け、薬をもらって帰っていただきます。

30分ほど外来を見学した後、いざ手術室へ。そのころにはもうすでに、二つの手術室に10台の顕微鏡がセットしてあり、準備万端整っていました。だれがどの症例を手術するかは、その先生次第。とにかくベッドで寝て待っている患者さんのカルテを見て、即座に診断と手術方法を決定し、手術開始です。そこにはCTもなければ耳管機能検査もなし。あるのは鼓膜所見と純音聴力検査結果だけです。しかし、この二つでもって、ある程度の診断は可能なのですね。

結局、その日に私が担当した症例は8例(慢性穿孔性中耳炎6例、真珠腫性中耳炎1例、外耳道に充満するポリープを伴った慢性中耳炎1例)でした。もちろん私が今まで一日で経験した中では、断トツの手術例数です。全部の症例が終了したのが20:00過ぎ、かなりハードな一日でした。同行したタイ先生の一人は、“あー、しんど“を連発、彼は以前1年間日本に留学していたのでした。

ホテルに帰ってビールを一杯飲んで就寝です。ところがシャワーのお湯が出ず、エアコンはがんがん効いて寒いくらいなのにスイッチが見当たらなく消すこともできません。ベッドには、むき出しの毛布(ダニがいそう)が一枚あるきり・・。悪い予感がしました。

第四日目

この日はSicholからKrabiという町への移動日です。Krabiは有名なPuhketの近くにあり、最近新しいリゾート地として栄えつつある町です。マイクロバスに揺られること約3時間、Krabiの病院に着きました。その日は、別の手術が行われていたため、機材をおいて夕方に顕微鏡をセットすることになりました。外来玄関には、明日のキャンプがポスターにて告知されておりました。

午後はフリータイム。ところが、どうも体がだるく寒気がします。熱もあるようです。昨日の悪い予感が的中、せっかくのフリータイムをベッドの中ですごすことになってしまいました。こういうときに限って薬を持参していません。とにかく、じっとして汗をかいて熱を下げます。夜にタイの先生の一人が抗生剤と解熱剤を持ってきてくれました。このときほど薬のありがたさを痛感したことはありません。

第五日目

体調は悪くはないが、やはりだるさはまだとれず。8:30に病院到着。早速即席外来ホールに向かうと、やはりそこでも大勢の人がいまや遅しと待ち構えておりました。現地の先生の誘いもあり、外来も数名診ることができました。もちろん彼に通訳を頼みます。5名ほど診て、手術対象は1名でした。鼓膜が正常な場合、感音難聴と耳硬化症の鑑別が必要となります。先ほども書いたとおり聴力検査器械は一台のみなので、おいそれと聴力検査にはまわせません。そこで登場するのが音叉です。乳様突起部(耳の後ろの骨の部分)に当てた場合(骨導)と外耳孔(耳の穴)付近で聞かせた場合(気導)で、自覚的な聴力を聴取します。もし、両者に差がある場合には気骨導差があると判断し、耳硬化症と診断をするわけです。定性的ですが、簡便で有用な検査法です。

この日は、タイの先生も一昨日より多く参加したために、若干余裕のある手術室内でしたが、それでも50名以上の手術症例があり、一日でさばききれず翌日午前中まで、持ち越すことになりました。

第六日目

昨日できなかった残りの患者さんを手術し、午前中で終了。昨日と合わせ、私は5件の手術をさせていただきました。そして午後は体調もだいぶ良くなり、ホテル近くの島巡りでタイの太陽を十分に満喫しました。その日の夕方、同行した先生方やスタッフとお別れをし、空路バンコクへ。

残りの2日間はアユタヤとバンコクを観光し無事成田へ到着したのでした。

まとめ

今回のキャンプで、本当に貴重な体験をさせていただきました。国際交流の重要性を改めて感じています。Dr. Soontorn始め、タイのDr.、スタッフの皆さんに感謝申し上げます。それからお留守番をしていた院長始め当院のスタッフともども、みなさんお世話になりました。本当にありがとう!!

追伸
今回の旅で手術とは関係ないところで少し発見しました。

1.仙台・成田間を空路で結ぶフェアリンクは、海外旅行をする際にはとても便利。
2.タイの料理はやっぱり辛いものが多い。でもおいしい。
3.タイのスコールはものすごい。1時間で道路は冠水状態。
4.手術用顕微鏡ってこんなにばらばらになるものなんだ(手術終了後にトラックに積む際に)。。
5.キャンプに同行する看護師さんたちは、みな英語が達者で仕事もきっちりこなす。その上とっても陽気。仏教徒だけど意外と下ネタ好き?

ドクター、スタッフとの集合写真。矢印が私。
ドクター、スタッフとの集合写真。矢印が私。

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