医療法人 仙台・中耳サージセンター 将監耳鼻咽喉科

Better Hearing より良い聴力を

TOP > 学術的活動 > 側頭骨解剖実習(タイ)

側頭骨解剖実習(タイ)に参加して  副院長 湯浅 有

日本の側頭骨解剖実習の現状

一般に手術を行う医師にとって、局所の解剖を熟知することは必要最低限の事項であり、この知識がない医師はもちろん手術などできるわけがありません。これは当然中耳手術にも当てはまります。とりわけ中耳は立体的に複雑な構造になっており、術者は常にこの構造をイメージしながら手術を進めます。中耳およびその付近には、極めて重要な器官が多数あります。鼓膜、耳小骨、蝸牛などの聴力に関するものから、顔面神経、前庭・半規管(平衡感覚を制御する器官)、鼓索神経(味覚を制御する神経)、そして脳硬膜、静脈洞(静脈球)、内頚動脈など損傷すれば生命に関わるものも含まれます。

これらの構造を熟知するには、もちろん教科書や模型なども有効ですし、実際の手術を見ることも非常に重要となります。しかし、最も効果的で実際的なのは、人の側頭骨(屍体)を使って手術の処置と同様な操作をすることです。そのことで、教科書では得られないそれぞれの位置関係、そして手術操作中にどこが危険となるかといった具体的な知識が獲得できるのです。しかし日本では、この側頭骨解剖実習の機会がとても少ないのが現状です。その原因は、実習に提供される人の屍体の数が絶対的に足りないという現実にあります。そのため、中耳手術を志す医師は海外で実習をうけるケースが多いのです。

コースの実際と感想

さて前置きが長くなりましたが、今回は平成16年11月1日から5日まで、タイのバンコクで行われた実習に参加しました。昨年タイの中耳手術キャンプに参加したことは報告しましたが、今回もその関係でお誘いをいただき、喜んで行ってきました。このコースの目的は、アジア地域での中耳手術のレベルアップにあり、したがって参加者の対象はアジアでの耳鼻咽喉科医師となっています。タイの中耳手術のレベルは非常に高く、このコースを通してアジアの中耳手術を牽引していこうという意気込みが感じられます。毎年月にこの実習コースは企画されており、海外からも教科書を執筆するような有名な先生が講師として招かれます。今回も論文や教科書でしか名前の知らない講師の先生とディスカッションできたことも一つの貴重な経験でした。

日程は5日間で午前が講義および実際の手術見学、午後は側頭骨解剖実習です。日本からは私のほかに、大阪大出身の先生が3名参加されました。初めてお会いする先生方でしたが、学術的なことから大学のこと、個人的なことまでお話しすることができ、とても楽しいひとときでした。日本の学会では、見知らぬ先生と話をする機会はほとんどないので、これもこのコースに参加してできた経験と思っています。
タイの人たちは、陽気で明るく、そして我々のために最高のもてなしをしていただきました。ホテルや食事なども、すべて彼らが手配し、それも含めた参加費用がたったの500米ドル(5万5千円位)なのです。欧米のコースでは、安くても10万円(もちろんホテル食事代は別)で高いところでは30万円くらいするところもあると聞きますから、この値段は破格です。このコースを主催しているKiertiyos Komin教授(まだ50歳前半と若い!)は、「このコースによる利益はまったく考えていない。海外の講師の先生も旅費宿泊費だけ持ち、講義料は一切もらっていない。いかに大勢の若いアジア耳鼻咽喉科医師にこのコースへ参加してもらうかだけを考えている。」とおっしゃっており、そのボランティアと厚遇の精神に感銘を受けました。彼らは、カンボジア、ミャンマー、ベトナムなど隣国での中耳手術キャンプも無償でおこなっており、時間を作ってそのキャンプにもまた参加したいと思っているところです。

ドクター、スタッフとの集合写真。矢印が私。

コース最終日前夜、ベルギー大使より招待されコース関係者とともに夕食を。右から3番目がKiertiyos Komin教授。右から2番目は、昨年の手術キャンプでお世話になったPhakdee Sannikorn先生。左から2番目が以前仙台の東北労災病院で研修されたManus Potaporn先生、一番右が私。

ドクター、スタッフとの集合写真。矢印が私。
実習修了証明書
一覧へ戻る
  • 手術実績
  • 医師紹介
  • 施設のご案内

診療カレンダー

Map

〒981-3132
宮城県仙台市泉区将監10丁目12番1-2号

ご予約・お問い合わせは022-374-1551 受付時間:9:00~18:00(日・祝祭日を除く)
アクセスはこちら
破れ鼓膜よ、さようなら
ページの上部へ戻る