好酸球性中耳炎

好酸球性中耳炎

好酸球性中耳炎好酸球(血液中の白血球のひとつでアレルギー疾患と関連がある)が中耳の粘膜に浸潤し、にかわ状の滲出液が溜まるのが好酸球性中耳炎です。一度発症すると治りにくく、成人発症型の気管支喘息に合併して発症することが多いですが、中には好酸球性副鼻腔炎から発症することもあります。
好酸球内の好酸球塩基性蛋白(ECP)は寄生虫を退治する役割を持っていますが、中耳に高度の浸潤が起こることで組織障害を引き起こします。発症すると、にかわ状の貯留液が中耳腔に溜まり、難聴(伝音難聴)や耳閉感、耳鳴りなどが生じます。こうした症状は喘息の発作時にひどくなることが多く、発作の軽快とともに治まることがありますが、内耳に障害を与えることもあるため、治癒不能な難聴(感音難聴)を引き起こしやすくなります。ただ、現段階では不明な点が多く、原因ははっきりしていません。
治療では、鼓膜切開や鼓膜換気チューブ留置にて貯留液を除去します。また、ステロイドの鼓室内投与や全身投与も効果的ですが、再発する可能性があります。なお、感音難聴に対してもステロイドの投与を行いますが、聴力改善がみられないこともあります。好酸球性中耳炎は気管支喘息を伴っていることが多いので、耳鼻科治療のみならず内科や呼吸器科の医師との連携も重要です。

症状

症状にかわ状のかたい貯留液が中耳腔にたまることにより、難聴(伝音難聴)や耳閉感、耳鳴などが生じます。特に喘息の発作時に増悪することが多く、発作の軽快とともに耳の症状が治まることもあります。しかし、内耳に障害を与えることもあり、治癒不能な難聴(感音難聴)を引き起こすこともたびたびあります。

治療

貯留液の除去方法として、鼓膜切開や鼓膜換気チューブ留置があります。また、ステロイドの鼓室内投与や全身投与も効果がある場合があります。
感音難聴が生じた場合もステロイドの投与を行いますが、必ずしも聴力改善が認められるわけではありません。また、多くの場合に気管支喘息を伴うため内科、呼吸器科の医師との連携も非常に重要となります。
喘息の治療を行っている方は、自己判断で治療を中断したりせず医師の指示に従うことが大切です。

手術方法

鼓膜切開について

通常、耳管では中耳の換気が行われています。しかし、中耳炎を起こしている時には耳管の機能もうまく働かなくなっています。鼓膜切開を行うと、中耳の中の膿が減り、さらに鼓膜切開によって通った穴から中耳の中の換気が行われます。この中耳の換気が十分に行われることが中耳炎の治癒に重要な働きをします。
鼓膜切開の穴は、通常では数日~1週間程度で閉じてしまいます。穴が閉じて、中耳炎も治れば治療終了です。しかし、乳幼児や低年齢のお子さんの場合、穴が閉じると、再び中耳炎が悪化してしまうこともあります。
鼓膜切開を行っても中耳炎がなかなか完治しない場合や、一旦治っても度々再発を繰り返すという場合には、鼓膜に換気チューブを留置する方法が有効です。

鼓膜換気チューブ挿入術

鼓膜換気チューブ挿入術について鼓膜換気チューブ挿入術では、鼓膜を切開した後、数mmの大きさのチューブを穴に差し込みます。チューブ留置手術は通常、外来で局所麻酔下に行うことができますが、処置に対する恐怖感の強いお子さんなどの場合、安全のために入院した上で、全身麻酔下で行っていただくこともあります。この際の入院は、通常一泊二日程度です。
チューブが留置されていると、チューブの穴を通して中耳の換気ができるので、中耳炎が治ってきます。その中耳炎が治った状態を長く保たせることと、その間の身体の発育によって、耳管の機能も徐々に改善してくることが期待できます。
チューブが留置された状態でも、聞こえ方には大きな影響は無くむしろ中耳炎で中耳に滲出液などが溜まっている状態よりも聴力は良いことがほとんどです。
チューブ留置中は、耳に水が入らないように注意してください。耳栓をすれば、通常の水泳は可能ですが、深く潜水するような行為は避けましょう。入浴はさほど問題ありませんが、洗髪時など耳に水が入りやすい場合は、綿花などで栓をしておくと良いでしょう。
チューブを外すタイミングは、通常2年以内といわれていますが、中耳の状態や年齢によって異なります。チューブを外すと、鼓膜にあいた穴は徐々に閉じてきますが、稀に穴が閉じずに残ってしまう場合もあります。穴が残ってしまった場合は、比較的簡単な手術で鼓膜の穴を閉じることができます。

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