鼓室形成術
鼓室形成術とは、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎など、鼓室や乳突蜂巣に病変がある場合や耳小骨に異常がある場合に適応される手術で、鼓膜に穿孔がある場合には鼓膜も再建します。
鼓室形成術は耳小骨の連鎖形態によって分類されます(日本耳科学会)。ここでは、一般的に多く用いられる型を呈示します。
鼓室形成術Ⅰ型
鼓室または乳突蜂巣内の病巣の除去は行いますが、耳小骨連鎖に処置を加えないものを呼びます。基本的に耳小骨の離断や可動性低下等の異常が認められない場合に適応となります。
鼓膜の振動は正常のときと同様に、ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨と伝わり内耳に伝達される。
鼓室形成術Ⅲ型
アブミ骨に異常がなく、ツチ骨やキヌタ骨に離断や破壊、可動性低下等の異常があり、これらを摘出した場合、アブミ骨に直接鼓膜を接着させます。一般的には鼓膜とアブミ骨にある程度の距離があるので、その間にコルメラと呼ばれる振動を伝えるものを留置します。コルメラの材料には、自家組織(自分の組織)である摘出耳小骨や外耳孔周囲の軟骨、または人工材料であるセラミックやチタンを使用します。
鼓膜の振動は正常と異なり、コルメラを介してアブミ骨に直接伝わる。
鼓室形成術Ⅳ型
アブミ骨は底板と上部構造の二つの構造から構成されますが、上部構造が破壊された場合には底板のみとなってしまいます。ここに上述のコルメラを留置し鼓膜を接着した型が鼓室形成術Ⅳ型です。
鼓膜の振動はコルメラを介しアブミ骨底板へ伝達される。
※一般的に術後の聴力改善度はⅠ型>Ⅲ型>Ⅳ型の順で小さくなります。