メニエール病
メニエール病とは、難聴や耳鳴を伴うめまい発作が繰り返して出現する病気です。
平衡感覚をつかさどる前庭・半規管の中にはリンパ液が存在します(内リンパ液)。その内リンパ液が、何らかの原因で異常に多く貯留し、前庭・半規管機能が障害されることにより発症すると考えられています。
鼓膜の振動を電気信号に変える蝸牛は前庭とつながっているために、めまいに伴って難聴や耳鳴も出現します。
症状
上述のように、繰り返す回転性のめまい発作と、それに伴う難聴(特に低音部)や耳鳴です。
難聴や耳鳴はめまいが治まると改善されることが多いですが、発作を繰り返してゆくにつれ、徐々に増悪することもあります。
治療
(保存的治療)
軽症の場合には、抗めまい剤や利尿剤の一種(イソソルビド)などの内服で、多くは症状が緩和されます。
その他、循環改善剤や自律神経調節剤、めまいに対する不安を抑えるために精神安定剤を使用することもあります。
これらの薬剤で、症状が改善されない場合、鼓室(鼓膜の奥の空間)にある種の抗生物質(ゲンタマイシンなど)を注入する方法もあります。
(手術的治療)
上記の保存的な治療が無効でめまいがひどく、日常生活が高度に障害される場合には、手術的な治療を選択することがあります。
- 内リンパ嚢開放術
内リンパ嚢は蝸牛や前庭・半規管内の内リンパ液の吸収に関与していると考えられています。この内リンパ嚢を開放することで、増加した内リンパ液を減少させ症状が改善されると考えられています。 - 前庭神経切断術
前庭・半規管からの信号は、前庭神経を通じて脳に送られます。これを切断し、めまいの原因となる前庭・半規管からの異常な信号を遮断することによりめまい症状を減少させます。 - 前庭・半規管削開術
難聴が高度の場合には、前庭・半規管からの異常信号を除去する目的で、これらの器官を削開除去する方法があります。この場合、聴力はまったく廃絶してしまいます。