第26回日本耳科学会総会学術講演会
今年で26回を迎える日本耳科学会に参加してきました。今年は信州大学耳鼻咽喉科の宇佐美真一教授が会長となり、長野市のホテル国際21にて開催されました。今年のプログラムはこれまでと異なり、トピックとなるテーマを取り上げそれぞれのテーマに造詣の深い先生方の口演を中心に、活発な議論がなされました。心配された台風の影響もほとんどなく、参加された先生方も熱心に聴講、議論をされていた様子でした。
開会直前
AAO-HNSF 2016
今年で10回目となるアメリカ耳鼻咽喉科学会(AAO-HNS)での鼓膜形成術接着法に関する教育講演のために、西海岸メキシコとの国境にあるサンディエゴへ兵庫医科大学の阪上雅史教授とともに行ってきました。サンディエゴは2009年にも開催されており今回は2回目の訪問となります。訪問中に一度雨が降りましたが、サンディエゴでの降雨は1年ぶりとのこと(驚)、そのくらい温暖で爽やかな気候のようです。最終日での講演でしたが、70名ちかくの先生に聴講いただき、講演中の質疑応答時ばかりではなく講演終了後も多数の質問をいただきました。
講演終了直後。
(平成28年9月21日、サンディエゴにて)
ブータンでの第6回ボランティア手術
ブータン王国でのボランティア手術も今回で6回目となりました。前回は初めての地方都市プンツォリンでの手術でしたが、今回は以前と同様に首都のティンプーで行いました。今回は、前回に引き続き久留米大学の上田祥久先生、そして弘前大学の佐々木亮先生が同行され、我々と共に3日間で計27耳の手術を行っております。また今回はブータン王国の首相にお会いして、今までの活動のご報告させていただくことができました。首相からもとても丁寧な謝辞を賜っただけでなく、これからも我々の活動をバックアップしていただけるとの大変心強いお約束いただきました。さらに、ブータンの国営放送テレビの取材も受け、同日の夜に我々の活動をテレビで紹介していただきました。今後の活動もより質と量を高めながら、微力ではありますがブータン王国の医療の発展に寄与できればと考えております。
手術中
第64回日耳鼻東北地方部会連合学会
日耳鼻東北地方部会連合学会は、東北各県の耳鼻咽喉科地方部会の先生方が一同に会して討論を行う学会で、各県持ち回りで毎年7月後半に行われます。若い先生方の登竜門の場としても活用されており、今年は山形市で行われ今回も研修医の先生を含め伸びしろ豊かな有望な先生方が素晴らしい発表をされ、活発な討議が行われました。
学会開始直前
第13回耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会
耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会は、耳鼻咽喉科領域における日帰りや短期入院での手術をいかに安全に行い、そしてその技術を発展させるかをテーマにして、年1回開催されている研究会です。このテーマに即した講演やシンポジウム、そして実際に短期滞在で手術を行っている先生方からの提案や報告などがあり、毎年活気あふれる討論が行われています。今年は大阪で行われましたが、今回はチーム医療として欠かせない看護師の方々も交えたワークショップも行われました。 術者の技術や手術適応の他に、医師以外の医療関係者を含めたチームワークが、より安全な手術を行うためには重要なポイントであることが再認識された一日でした。
特別講演中
第10回国際真珠腫および耳科手術学会 10th International Congress on Cholesteatoma and Ear Surgery
国際真珠腫学会は4年に一度開催される国際学会で、主にヨーロッパ各国が持ち回りで主催します。真珠腫性中耳炎を中心に中耳~頭蓋底手術、人工内耳手術も対象とした学会になっています。第10回となる今回は6月5日~8日まで、スコットランドのエジンバラにて開催されました。
今回は、ビデオワークショップー鼓室形成術ーというカテゴリーで鼓膜形成術接着法の口演をさせていただきました。私の他3名の先生方が鼓室形成術に関する各々の手技手法を発表され、それについての議論がなされました。自分の発表が終了すれば演台からおりるのが通常ですが、今回は正面舞台の椅子に着席しそれぞれの演者と司会者、そして聴衆の先生方を交えてのディスカッション形式でした。
やはりまだまだ英語力不足で自分の意見を正確に伝えるためのツールがなっていない状態では、国際舞台でものを言うことは難しいと痛感しました。
発表中
岩手耳鼻咽喉科臨床研究会
当院では宮城県のみならず東北各県からご紹介いただく患者様も受診されます。今回は岩手県の盛岡市で開催されました岩手県耳鼻咽喉科臨床研究会にて、当院で行われている中耳手術の概略と術後治療に関しての解説を行いました。岩手県は、日本の県の中で最大の面積を有しますが、中央に北上山地がそびえ特に沿岸部と内陸部の行き来が大変です。今回内陸部の盛岡市で講演が行われたにもかかわらず、沿岸地域の先生方も含め多数の先生方にご来場いただきました。術後問題が発生した場合の対応は手術をした施設でも難しいことがあり、ご紹介いただいている先生方にはご迷惑をおかけしておりますが、今回のような講演などによりご加療される第一線の先生方と密な連携を持つことで、多少でもその解決の糸口となることが患者様にとっても重要なことと考えています。
第59回仙台北部耳鼻咽喉科懇話会(SNORL会)
仙台北部耳鼻咽喉科懇話会(SNORL会)は、泉区を中心に仙台市北部周辺で診療されている耳鼻咽喉科の先生方で構成される勉強会です。平成6年より始まり、今回で59回となりました。この会では近隣の他科の先生のご講演を拝聴して耳鼻咽喉科領域以外の知見、そして他科の先生との交流を深めることを目的としています。毎回、当院から耳鼻咽喉科領域(特に耳科)のトピックなどを情報提供しています。他の先生方もこのような勉強会を通じて、さらなる医療水準の向上を目指しています。
ブータンでの第5回ボランティア手術
当院では現在ブータン王国でボランティアによる中耳手術を行っています。3年を1クールとして計画し、去年までの3年間に計4回約100耳の手術を行って第1クールを終了しています。過去4回とも首都のティンプーで行っていましたが、今回は2月23日~28日の6日間の日程で、パロ空港から南へ車で約5時間、インドとの国境の町プンツォリンで手術を行いました。この病院には耳鼻咽喉科医師の常勤がいないため、スタッフも含めブータン関係者全員がティンプーからプンツォリンにやってきました。初めての地方の町での活動ということで、まずは下見を兼ねて日本からは院長、副院長、看護師長の3名、そしてブータン関係者数名での活動となりましたが、結局3日間の手術日程で計23耳の手術を行っています。今回の手術では、手術器具を直接医師に手渡す介助をすべてブータン人のスタッフで行っています。また3耳の手術をブータン人医師に行ってもらいました。介助するスタッフに関しては既に大体の作業内容を把握しており、指導はほとんど不要になりました。医師に関しても、少しずつではありますが低侵襲での手術法を獲得しつつあります。この第2クールの3年で一人立ちができるよう彼らをサポートしたいと思っています。
手術室
第162回日耳鼻宮城県地方部会学術講演会参加
日耳鼻宮城県地方部会は、宮城県の耳鼻咽喉科の先生方が参加する学会で、年3回(東北地方の6地方部会が合同で開催する連合学会を含めると4回)開催されます。臨床の第一線で診療されておられる開業医の先生方も多く参加され、熱のこもった議論が展開されます。今回は、慢性穿孔性中耳炎の再手術例に対する術後経過について報告しました。もちろん手術は1回で成功することが理想ですが、現実的には術後の鼓膜再穿孔や難聴再燃により再手術をせざるを得ない例があります。今回はそのような例での術後経過について検討し報告しました。