第112回日本耳鼻咽喉科学会総会学術講演会参加
去る5月19日から22日の3日間、京都で行われた第112回日本耳鼻咽喉科学会総会に参加、一般口演による発表をしました。今回は、真珠腫性中耳炎で破壊された半規管(バランスを調節する器官)を有する症例についての演題でした。全国学会は、各地で活躍されている諸先生方と、学術的な話だけでなくお互いの近況をお伝えする場でもあります。今回は、東日本大震災後初めての全国学会ということもあり、温かい励ましのお言葉を多数いただいております。学会自体の開催も危ぶまれましたが、会長のご英断で盛況に行われました。
期間中、外来診療変更等ご迷惑をおかけしますが、ご理解いただきたくお願い申しあげます。
被災地診療4
震災から2カ月以上が経過しました。復興という言葉が、少しずつ具体的に前向きにとらえられ始めております。
昨日も前回に引き続き雄勝地域の巡回診療を行いました。今回は、みみはなのど富沢クリニックの中野浩先生とご一緒に看護師、薬剤師を含め計4名で診療しました。
雄勝地域も、がれきの整理が少しずつ進んでいるように見え、また数日前から地域全般に電気がやっと通ったようです。しかし、水道はいまだ復旧せず給水車が頼りの状況です。
当地域には雄勝病院がありましたが、津波により壊滅的な打撃を受けました。その雄勝病院に勤務されていた地元出身の看護師の方が避難所で献身的に働いており、避難所の方々の健康管理に尽力されております。今後は避難所から仮設住宅へ生活の場が徐々に移っていきます。それに伴い、仮設住宅地域の医療体制の整備も考えなければなりません。
時間の経過とともに状況は変わってきており、その変化に対し適切な対応が望まれるところです。
巡回診療車内での診療
中野医師の診察
被災地診療3
震災からもうすぐ2カ月が経とうとしております。各地で復興の兆しが見え始めており、仙台市周辺の避難所で生活している方々は、近隣の医院へ通院することができるようになってきています。しかし沿岸部は電気、水道といったインフラもまだ復旧していないところがあり、前回視察した雄勝地域の避難所でもいまだ高圧電源車や給水車の臨時供給でなんとか凌いでいる状態の場所もあります。
今回は、宮城県耳鼻咽喉科医会会長の神林潤一先生を始め、池田クリニックの綿谷秀弥先生、台原駅前耳鼻いんこう科の千葉敏彦先生と共に、5月5日のこどもの日に雄勝地域の巡回診療を行いました。雄勝地域では小規模の避難所が点在しており、1か所の避難所に集まることが困難であるため当院の巡回診療車の機動性が発揮された一日でした。
少なくとも5月中は、このような被災地での避難所診療を継続し、巡回診療のニーズに合わせて今後の方針を決定する予定です。
巡回診療車を使用した避難所での診療
被災地診療2
現在、宮城県耳鼻咽喉科医会では毎週日曜日、宮城野区、若林区、東松島市の避難所の一部で被災地診療を行っております。しかし、石巻以北の沿岸地域では、まだまだ耳鼻咽喉科領域の診療がいきわたるところまではいっておりません。今回は、4月27日に雄勝地域の視察と河北地域の避難所診療を行いました。今後もできるだけ被災地の方々の状況とニーズに合った診療を行えればと思っております。
巡回診療車を使用した避難所での診療
被災地診療
今回の震災による津波で、宮城県の沿岸部は多大な被害を被りました。それは医療施設も同様で、震災直後は拠点病院もその機能を失いました。それらの機能の一部は復旧しつつありますが、まだまだ十分といえる状態ではありません。また診療所が流されてしまったところもあり、現在大きな避難所には仮設の診療所を設置して診療を行っている場所もありますが、耳鼻咽喉科としての診療体制はまだ整備されておりません。
昨日、宮城県医師会からの要請があり宮城県耳鼻咽喉科医会による避難所の巡回診療に参加しました。他に宮城県医師会理事の橋本省先生、宮城県耳鼻咽喉科医会会長の神林潤一先生、東松島市で開業されているいしがきみみ・はな・のどクリニック院長の石垣元章先生が参加されました。今回は、東松島市で約200名が避難されている2か所の避難所で診療を行いました。現在、被災者の方々がどのような状態で、何を望んでおられるのか、やはり百聞は一見に如かず、とにかく現地に行くのが一番察しやすいと思います。震災後1カ月がたち、尋常ではない環境で息つく暇もなかった被災者の方々も、徐々に身体的にも精神的にも疲労が蓄積してきております。CMにもありました。大きな強い力も必要、でも継続する力がもっと必要。被災者の方々と共に生きる、この気持ちが一番大切だと思います。
東松島市大塩市民センターの図書室を臨時診察室として診療
花粉症のシーズンが到来しました。
今年も花粉症のシーズンがやってきました。昨年夏の記録的な猛暑の影響で、今年のスギ花粉の飛散数は例年に比べかなり多い予想となっております。すでに症状を訴えて受診される患者さまの数も増えてきています。本格飛散の前から、抗アレルギー剤の内服を継続していると症状が軽減する傾向があるようですので、早めの受診をお勧めいたします。
また本格的な飛散時期には、外来も大変混み合い待ち時間も長くなってしまい、患者さまには大変ご迷惑をおかけすることになり、本当に申し訳ありません。特に土曜日の午前中10時以降では、1時間30分以上もお待ちになってしまうこともありますので、花粉症の患者さまにおかれましてはできるだけ平日に受診していただき、混雑緩和にご協力賜れば幸いです。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
明けましておめでとうございます。
九州大学耳鼻咽喉科の玉江先生が手術見学に来院
先々週 3 日間にわたり、九州大学耳鼻咽喉科の先生が当院で行われている手術見学のため来院されました。九州大学耳鼻咽喉科は 1907 年に日本で 3 番目の帝国大学として開設された歴史ある科で、歴代の教授の中で耳科学を専攻された先生も多く、現在の小宗静男教授も基礎研究から手術まで、現在も第一人者として日本の耳科学をけん引されていらっしゃいます。今回はその九州大学から、玉江昭裕先生が仙台までわざわざいらっしゃいました。玉江先生はまだ 30 代後半の若い先生ですが、九州大学での耳科手術を担うホープの一人です。以前にも書いたことがありますが、他施設の手術を見学するメリットは、新しい術式を勉強するということのほかに、自分の行っている手術の良い点、悪い点を今一度反省するできる点にあります。現在、耳科手術は大分標準化されてきていますが、それぞれの施設の歴史的な背景などから、同じ疾患に対しても異なる術式が選択される場合があります。各々の術式の良い点を吸収しながら、自分の技術を向上させていくことが、よりよい術者になるためには大切です。今後も様々な施設の先生方と交流を持ちながら、自己の向上に努めなければと思う 3 日間でした。
第20回日本耳科学会総会学術講演会参加
先々週のアメリカ耳鼻咽喉科学会に引き続き、先週は愛媛県松山市で行われた第20回日本耳科学会に参加いたしました。愛媛大学は代々中耳の研究や手術が盛んな大学です。前回にも書きましたが年々発表演題数も増加し、丸3日間のプログラムとなります。耳に特化した学会ですので、どのセッションも中耳手術に直接かかわるテーマが多く、気がつくと一日学会場に缶詰ということになりますので、その状態が3日間続くと最終日は疲労感も強く漂ってきます。今回は、耳硬化症に対する手術の成績について発表しました。
学会での活動は、臨床に直結するということだけではなく将来的な展望を考察する上で非常に重要なものとなります。学会期間中は、外来時間や手術時間の変更等で患者様には大変ご迷惑をおかけしますが、なにとぞご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
AAO-HNSF 2010
2007年から続いて今年も、ボストンで行われたアメリカ最大の耳鼻咽喉科学会AAO-HNSF (American Academy of Otolaryngology and Head and Neck Surgery Foundation)2010に参加させていただきました。鼓膜形成術接着法の基本と接着法を使用した鼓室形成術について、以前と同様、兵庫医科大学耳鼻咽喉科の阪上雅史教授と共同での教育講演を行いました。
講演も4回目ということがあり、少々余裕も出るかと思いきや、英語を母国語とするアメリカ人の先生方に英語で教育講演をするというのは、やはり相当なプレッシャーを感じるものです。質問内容もより具体的になってきており、この接着法を実践している先生方がアメリカにもいらっしゃることを思うと、大変光栄に感じるところです。それに伴い、いつまでたっても進歩しない自分の語学力(英会話力)に失望してしまう講演でもあります・・。楽天では、会社の公用語を英語にする計画のようですが、やはりなかば強制的な力がないと英会話力は向上しないのかもしれません。来年もまた発表できる機会があれば、内容とともに英語表現力も鍛えなおしてみたいと思いました。
講演終了直後。右が阪上雅史教授、左が当院副院長。
(平成22年9月26日16:15~17:15(現地時間)、ボストンにて)